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2008.11.26 (Wed)

Perfume First Tour「GAME」

このブログは自分が聴いている音楽についての覚え書きのようなものである。ほかに「王様の耳そうじ」というブログがあるのだけど、そっちは個人的な趣味はあまり入れないという原則でやっていたので(実際はそうでもないんだけど)、もうひとつ発作的につくってみた。

あっちのほうだって更新が滞りがちなのに、もう一つやってどうするという気もするのだが、気分も変わるんじゃないかと思って、やってみることにした。原則的に毎回、CDを取り上げるという形式になると思うが、レビューというよりその音楽をネタに思いつくことを書いてみるというものになると思う。

Perfume First Tour 『GAME』
Perfume First Tour 『GAME』
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一回目はPerfumeのPerfume First Tour「GAME」(DVD)。なぜPerfumeなのかというと、日本の旬なアーティストのアルバムを予約して買ったのは、生まれて初めてだったからだ。旬なものに浸って、時代とシンクロする快感というのを知ったのもPerfumeが初めてだった。

きっかけははっきりしていて、YouTubeにあがっていた「シークレットシークレット」という曲のプロモーション・ビデオをなんの気なしに見たことだ。



冒頭、バスドラの音ともにのっちがぱっと目を開けて、シルエットになったタテ乗りのダンスがはじまったときには、不意打ちを食らったように背筋がぞくっとした。なんだ、これは。巧妙な演出と無機的で不思議なダンスに思わず見入ってしまった。

J-Popはほとんど聞かない。街を歩いていて、メガヒットしているらしい曲が流れていて、ああ、こんなのが流行っているのかと思う程度で、すすんで聞きたいと思うことはなかった。だから、シークレットシークレットのPVの衝撃は自分でも思いもよらなかった。

それから毎日、一カ月くらいは毎日なんどもこのPVを再生して、束の間の陶酔にひたった。これまで女性になりたいと思ったことはないけれど、これを見たときは自分も女の子になってシークレットシークレットを踊りたいと気持ち悪いことまで考えた。iPodもカーオーディオもperfumeづくしで、コピーしてピアノでも弾いた。くりかえし動画を見ているうちにPVの細部まで脳裏に焼き付いた。

PV中、イメージシーンでダンスが中断する場面があるが、ステージではその間どんなダンスがくり広げられるのかが気になって仕方がなく、動画サイトをあたっては、その見ることのできないダンスがどんなものなのかを探した。たぶん同じようなことを思っていたファンもいるだろうから、レコード会社側もうかつにライブの映像など流出させない。そんなわけでずっと落ち着かない気分でいたので、ライブのDVDが出ると聞いたときは、迷わず予約した。そのころにはPerfumeの歴史から、各メンバーの性格から、それぞれの曲のダンスの動画から、Perfumeの曲がエンディングにつかわれていたBSフジの深夜ドラマまで網羅していた。りっぱなミーハーである。

なんでこんなに熱病のようにPerfumeに魅せられたのか、よくわからない。もっとも、そういうのはぼくだけでないらしく、それまでJ-popなんてバカにしていた同じく40代くらいのおやじどもが、けっこうPerfumeにはまっているとも聞いた。一説には、彼らがかつて聞いていたYMOやクラフトワークなどのテクノを思い出させるからだともいわれているらしい。だが、これは怪しい。自分もYMOやクラフトワークはそこそこ聞いていたけれど、当時YMOやクラフトワークの人気なんてたかがしれていた。少なくともぼくのまわりではサザンを聞いている人に比べれば、YMOファンなんてごくわずかだった。

Perfumeの魅力をつくってるのは、作詞作曲プロデュースにあたっている中田ヤスタカのつくる曲のよさもあるだろうし、クラブミュージックをベースとし、アナログシンセやボコーダーをつかったサウンドのレトロめいた新鮮さもあるし、無機的でありながら複雑なダンスの魅力もあるだろう。また、3人組の若い女の子でありながらも性的なものを感じさせないキャラクターなどもあるだろうし、過剰なイメージ戦略などのあざとさを感じさせないせいもあるだろう。それでも、この熱病の理由がそれで解けた気はあまりしない。

そのときふと思ったことがある。ひょっとして、これって、数年前のヨン様ブームに似ていないか。むろんヨン様ブームの規模には及ばないものの、数年前、大量のおばさまたちがヨン様にはまったのと似たような力学が、おじさんのPerfume熱に見られるのではないか。

ヨン様ブームがあんなに広がったのは、コアな芸能ファンだけではなく、どちらかといえば芸能ニュースに対してそれまでほとんど関心のなかったインテリおばさま層がヨン様に魅せられたからだと聞いたことがある。芸能情報や女性週刊誌とは無縁だった彼女たちは、知的でピュアな印象を与えるヨン様に、現実の夫や子どもや社会に対して見られない夢を託し、それがのちの韓流につながる一大ブームにつながった(のかな?)。

Perfumeファンの40代以上のおじさんたちにも同じような傾向が見られるのではないか。実際、Perfumeが中田ヤスタカのプロデュースになってしばらくして、ライブに来る人たちの層が変わったと、メンバーが、どこかのインタビューで話していた。それまで集まるのはどちらかといえばださいオタク系が多かったのが、にわかに、ファッションやセンスのいい、かっこいい中年のお客さんが増えてきたというのだ。もっとも、その「かっこいい中年」に自分が含まれるかどうかは別の話である。

ヨン様ファンと同じく、Perfumeファンのおじさんの中には、ふだんは歌謡曲やJ-popなど聞かず、どちらかといえば別ジャンルの音楽を聞いてきて、そこそこインテリでおしゃれだったりして、けれども、現実の妻や子どもや社会に対しては、けっこう夢を失っていて、かといってアイドルとかオタク趣味に走るにはどこかブレーキがかかってしまうというタイプがけっこういるのだろう。Perfumeには、そんなおじさんたちの夢をかきたて、ときめかせるものがある。それはフェティッシュなオタク性や、少女趣味とはちがう。あえていうなら、おやじの中の少年性を甦らせてくれる、なにかせつない感情を刺激されるのだ。それは歌詞が基本的に男の子の視点から書かれていることとも関係があるかもしれない。

Perfumeを聞くとき、おじさんはおじさんの視点から彼女たちの曲を聞くのではなく、かつて少年だった自分にたちかえって、その世界に入っていく。そのときの少年は、現実の自分の少年時代とはかならずしも一致しない。現実の自分は多分にもっとダサくて、さえなかっただろうが、ここでは、ほんとうはこんなふうでありたかったという少年になって、実際には経験したこともない思いに浸るのかもしれない。アーティフィシャルで元気のいいPerfumeの音楽世界は、そんな夢を見るのを可能にしてくれるのだ。


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テーマ : おすすめ音楽♪ ジャンル : 音楽

15:07  |  Japan Pops  |  TB(0)  |  CM(10)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

■気持ちわかります♪

新ブログ、開設おめでとうございます!!
やった~!初コメント!

bouzenkunさんが突然熱狂的にはまった気持ち
よくわかりますとも。
(ヨン様ではありませんが、ものすごく近いっ!!・笑)

で、さっそくPerfume、見てきましたが、
残念ながらトキメケませんでした。
やっぱり40代男性じゃないとだめなのかな?

これから、こちらのブログも楽しみにしています♪
ゆうこ |  2008.11.27(木) 21:26 |  URL |  【コメント編集】

■ありがとうございます

>ゆうこさま
初コメントありがとうございます。
発作的かつ趣味的な内容なのでなかなか共感しにくい点もあるかと思いますが、よろしくお願いします。
bouzenkun |  2008.11.28(金) 14:20 |  URL |  【コメント編集】

■継続は力なり

量と質も大事ですが、ブログは更新が命です。人のことは言えませんが。
でも、更新すればいいってもんでもないしね。

「王様の耳そうじ」は「ココログ」で、このブログは「FC2」になってますけど、なんか違いがありますか?
某誌編集長 |  2008.11.28(金) 20:26 |  URL |  【コメント編集】

■はい、がんばります

>編集長さま
FC2、ココログよりもかんたんにいろんなことができるので使いやすいです。テンプレートもたくさんあるしカスタマイズもできるし、デザインもココログよりおしゃれです。
bouzenkun |  2008.12.02(火) 11:15 |  URL |  【コメント編集】

■同感です

私は47才の、ということは、もうオジサンです。以前からずーっと気になっていたのですが、この10日ほどで、なんだかPerfumeが非常に好きになって、1日のほとんど、Perfumeの音楽が頭で鳴っています。

アマゾンを見ると、「尋常でないはまり方をする」という言葉がありましたが、現在の私はいまそれです。DVDももちろん買いました。なんで好きなんだろうな、と思って、このブログに突き当たりました。

最後の段落、同感です。ワンルームディスコのPVなどを見ていて、自分が東京へ出てきて、一人暮らしを始めたときのことを思い出して、切なくなりました。自分が住んでいたのはPVに出て来るようなおしゃれな部屋ではなくて、4畳半の安下宿でしたが、「現実の自分は多分にもっとダサくて、さえなかっただろうが」というところが、それだけに共感することしきり。格好よくなかった現実がちらりと頭をよぎるからこそ、かえってあのPVは切ない。
ferrier |  2009.05.27(水) 12:24 |  URL |  【コメント編集】

■コメント、ありがとうございます

>ferrierさま
同世代の方からの共感、うれしいです。
ワンルームディスコのPV、いいですね。
「格好よくなかった現実がちらりと頭をよぎるからこそ、かえってあのPVは切ない」というのは、まったく同感です。

Perfumeの歌は、どれもどこか、せつなくて、はかないものを感じさせます。edgeなんて、サビでいきなり「だれだって、いつかは死んでしまうでしょう」だし、「マカロニ」も、「最後のときがいつかくるならば」とか、いまという時間のはかなさがどこか香ってくる。

うれしいので、また近々Perfumeのこと書きます!


bozenkun |  2009.05.28(木) 05:00 |  URL |  【コメント編集】

■Perfumeが止まらない

昨夜は同居人にPerfumeがいかにすばらしいか語ったら、わたし、嫌い、あっさりと言われて、人生でこれほどないぐらい、むかっとしました。Perfumeは家庭不和の元。やれやれ。

ダンスというものに興味がなかったんですが、Perfumeのダンスもすばらしいです。ロボット的な動きが面白い、ということではないんです。いや、それもいいけど、1人の動きに、1人の動きが連動していく感じがいいんですね。チョコレイト・ディスコでも、あーちゃんが動き、次にノッチが動き、最後にカシユカが動き出すところがあるでしょう? エネルギーが右から左へ乗り移っていくというのかな。http://www.youtube.com/watch?v=p3_t5YOG0n0でいうと、2:53のあたりから。

「ポリリズム」でいうと、http://www.youtube.com/watch?v=gO5IKUdy4MQの3:59から4:01にかけて、3人がお互いの顔を見て、手を差し出す場面があって、なんで自分はこんな些細なことにこだわっているかわからないんですけど、3人の表情がすごく良い。それぞれがそれぞれに動き、それが全体として一つの形を作っているわけなんだけど、一瞬だけ、3人が互いに見合って、目配せをして、わたしたち楽しいね、とか確認しあっている感じがします。もう、わたしは、それを見るだけで、涙ぐんでしまう。

すぐれたライブビデオはみんなそうですけど、その空間がすごく幸福そうに見えるんですよね。Perfumeのコンサートに行った人はその幸福について熱く語っていますし、Perfume自身、自分が幸せになって、みんなも楽しくなって、スタッフも楽しくなって、というふうに言っていました。

たぶん、上で書いた、一人の動きがほかの人に伝わっていくように、1人の幸せがほかの人に乗り移っていくことが私たちを感動させるのではないでしょうか。

そういえば、自分の若い頃に、たしかにそういう経験が一度だけあったような気がすると思って、胸が熱くなります。かつて、森高千里の「コンサートの夜」のなかに、星空が自分たちを祝福している様が歌われていて、わかるなあ、と思ったものですが、わたし、Perfumeの映像を見ていると、すべてのシーンで胸が熱くなります。幸福は、幸福が長く続かないことがわかっているので、せつなく美しいのですねえ。

ごめんなさい。熱くなって、つい長くなってしまいました。いや、ほら、家のなかで語ると、不和になるから。

ferrier |  2009.05.28(木) 08:09 |  URL |  【コメント編集】

■ダンス

好みはそれぞれとはいえ、自分が好きなものを否定されると、がくっときますよね。うちでは地道な啓蒙活動のおかげか、なんとなく市民権を得ております。

彼女たちのダンスはいいですね。技を見せるというのではなく、まさにおっしゃるような、動きがつながってゆく愉しさがある。一見、無機的で幾何学的な動きなのに、みずみずしい生命感を感じるのがふしぎです。

ここでよければ、また語ってください。


bozenkun |  2009.05.28(木) 17:32 |  URL |  【コメント編集】

■日本のブルース・チャトウィン

3度目の書き込みです。コンサートはあんまり行かないのに、券が幸運にもとれたので、武道館へ行ってきました。Perfume初ライブ。5月11日(金)。以来、再び、PERFUMEのことしか考えられない毎日です。ライブ映像を見ると涙がこぼれるのはどうしてなんでしょう。
 ところで、僕の同居人が4月27日の田中真知さんのトークショーに行ってきて、「田中さんは日本のブルース・チャトウィン」なんてブログで書いています。田中真知さん? あれ、そのお名前は… あ、僕がPERFUMEのことで書き込みをした田中さんだ!

ferrier |  2012.05.16(水) 13:29 |  URL |  【コメント編集】

■え~~~~~~っ!!!?  驚!!!

ferrierさん、ホントですかーーー!?  そんな偶然がありうるなんて、びっくりしたなーもう。人の縁というのは奇々怪々ですね。いやーおどろきました。

ところで、Perfume ライブ行かれたんですね。私は立ちっぱなしがきつそうで、なかなかそこまでは思い切れないのですが、そうですか、よかったですか。

最近は「Spring of Life」のPVを毎日なんども見ています。シークレット・シークレットのときみたいに、のっちが目を開けたあと、3人が踊り出すところが大好きです。Perfumeが春に出す曲は、「ワンルーム・ディスコ」にしても、「ナチュラルに恋して」にしても名曲ばかりだなあ。同居人さまは、まだ説得できていませんか? 日本のブルース・チャトウィン(苦笑)はPerfumeに首ったけです。
田中真知 |  2012.05.16(水) 19:42 |  URL |  【コメント編集】

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